遺言執行者は天の声の代弁者

af0100024793_R遺言執行者の役割


 遺言者は、遺言で遺言執行者を指定することができます。遺言執行者は、相続が開始したら、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならないとされています。

 また、遺言執行者は、相続財産の管理、名義変更など、遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有するとされて います。

 
遺言書に以下のいずれか一つでも定めてある場合には遺言執行者が必要になります。
① 子を認知をするとき
② 遺言書で相続人の廃除、または廃除の取消しをするとき
③ 遺言書で一般財団法人を設立しようとするとき

 
遺言執行者は、法律上、相続人の代理人という位置づけがなされており、善良な管理者の注意をもって遺言執行事務を処理する義務を負うとともに、相続人の請求があるときはいつでも事務処理の状況を報告しなければなりません。

 
以上のように、遺言執行者は、遺言が効力を生じた後に、遺言の内容どおりに手続きを進める権限を有していると同時に、各相続人に対して中立的な立場に立って公正に執行事務を行うことが期待されています。

 
したがって、遺言の内容どおりに手続きを進めるためには遺言で遺言執行者を選任しておくのが望ましい言うことができます。

 なお、遺言の中で遺言執行者が指定されていないときなどには、家庭裁判所に対して、遺言執行者選任の申立てをすることもできます。

誰が遺言執行者になるか


 遺言執行者には、推定相続人のうちの一人(特に、大半の相続財産を取得する予定の推定相続人)が指定されているケースと、遺言作成に関与した弁護士や司法書士などの法律専門家が指定されているケースが見受けられます。
 しかし、相続人の一人が遺言執行者になった場合には、他の相続人から、「都合のいいように相続財産を隠しているのではないか」「相続財産を独り占めにしているのではないか」など、あらぬ疑いをかけられることもあり、紛争に発展してしまうこと もあります。

 
したがって、弁護士や司法書士などの法律専門家を遺言執行者に指定するのが望ましい考えられますし、そうした専門家が遺言を作成する段階から遺言者と 打ち合わせを重ねていたのであれば、遺言者の思いも十分に理解しているものと思われますので、遺言の趣旨を正確に事務に反映してくれることでしょう。

 
弁護士や司法書士などの法律専門家が遺言執行者に就任した場合には、通常は、相続人全員に対し、「遺言執行者就任通知書」と遺言書のコピーを送付し、遺言執行者に就任したことを通知します。

 
また、場合によっては、四十九日などの法要の際に、相続人全員に集まっていただき、遺言執行者に就任したことを報告することもあります。

 
私の場合には、遺言者の思いを伝えることを重視した遺言の中で遺言執行者に選任された場合には、相続人の方々にお集まりいただき、 遺言者の思いが相続人の心に染み渡るように遺言の全文をゆっくり読み上げるようにしています。

 その時、私は、遺言者の代弁者となっているのです。相続人ではない第三者である私が読み上げることによって、遺言者の遺志が何のフィルターも通さずに相続人に伝わっていくのだと思います。

 
そのような経験から言えることは、遺言を作るときは、中立的な代弁者として法律専門家を遺言執行者に指定しておくべきであるということです。

 
このほか、遺言執行者は次のような業務を行います。
① 遺産の調査をして財産目録を作成し、相続人全員に交付する。
② 遺言書で子の認知がされている場合は、就任してから10日以内に認知届けを提出する。
③ 遺言書で相続人の廃除がされている場合や廃除の取消がされている場合は、家庭裁判所にそれぞれの申立をする。
④ 遺言書で一般財団法人の設立のための寄附がされている場合は、一般社団法人設立の手続きを行う。
⑤ 遺言書にしたがって、預貯金の解約・払戻し等、相続財産の引き継ぎを行う。

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