筋書きどおりに行かないのが人生。年令順に亡くなるという幻想は捨てる

af9920037535_Rあなたが先に亡くなるとは限らない


 自分が死亡した後、誰が相続人になるのか考えるとき、どうしても、自分が最初に死亡するという前提で考えてしまうことが多いようです。
 確かに、それが当たってしまうこともあります。特に、いつ何時、不慮の事故に巻き込まれるかもしれません。ですから、思い立ったらすぐ遺言を作成することが必 要だということができます。

 しかし、人生に筋書きはありません。不幸なことに、家を継がせたいと考えていた子供が先に亡くなってしまうことも決して珍しくありません

順番が代わると効力を生じない


 つい最近のことですが、平成23年2月22日、最高裁は、遺産を特定の推定相続人(将来相続人となる続柄の人)に単独で相続させる旨の遺言があったケー スについて、その推定相続人が遺言者の死亡以前に死亡した場合には、当該推定相続人の代襲者その他の者に遺産を相続させる旨の意思を有していたとみるべき特段の事情のない限り、遺言は効力を生じないと判断しました。

 また、民法994条は、「遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない。」と規定しています。

 したがって、推定相続人に相続させる場合も、推定相続人以外に遺贈する場合も、ともに、推定相続人や受遺者が遺言者より先に死亡した場合には遺言は効力を生じないと考えておく必要があります。

 これを整理すると、次のようになります。
 
【事例1】推定相続人が遺言者の死亡前に死亡した場合
 遺言者の死亡以前に、遺言で指定された推定相続人が死亡した場合、その指定部分は無効となります。そのため、他の共同相続人に法定相続分の割合で相続されることとなります。死亡した推定相続人に子がいれば、その子は代襲相続人となり、死亡した推定相続人と同一の順位の相続人になります。

【事例2】受遺者が遺言者の死亡前に死亡した場合
 
遺言者の死亡以前に、受遺者が死亡した場合、その指定部分は無効となり、他の共同相続人に法定相続分の割合で相続されることとなります。

 ここでは、【事例1】について詳しく考えたいと思います。
 例えば、推定相続人は子供であるA、B、Cの3人で、長男であるAに自宅の土地・建物の権利を相続させたいと考えているとします。その場合、「Aに相続させる」という遺言を書けばいいことになります。

 しかし、この状態でAが遺言者よりも先に亡くなって しまった場合には、「Aに相続させる」という部分は無効になってしまうため、亡Aの代襲相続人である子供ら(A1、A2)が3分の1、B、Cがともに3分の1の法定相続分の割合で相続することになります。

 しかし、これでは、遺言を作ったことが無意味になってしまいます。

万が一のことも考えておくことが必要


 そこで、仮にAが遺言者よりも先に亡くなってしまったときはどうしたいのか、例えば、二男であるBに相続させることにするのか、Aの代襲相続人であるA1に相続させるのか、それとも、A1はまだ若くて心配なのでAの妻に遺贈するのか(Aの妻は代襲相続人ではないため「相続」ではなく「遺贈」になります)などを決め、遺言に遺しておいた方がいいでしょう。

 仮にAが遺言者よりも先に亡くなってしまったときはAの代襲相続人であるA1に相続させたい場合は、次のような文例によることとなります。

第○条 遺言者は、遺言者の有する下記の財産を、遺言者の長男A(昭和○年○月○日生)に相続させる。
(1)土地 浜松市北区北町1000番1 山林 500平方メートル
2 万が一、遺言者より前に又は遺言者と同時に長男Aが死亡していた場合、その者に対して相続させるべきであった前項記載の財産は、遺言者の代襲相続人である孫A1(平成○年○月○日生)に相続させる。

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