分けられないから問題。財産が少ない人ほど遺言が必要

af0020000409_Rほとんどは相続税がかからない


   「ウチの財産は自宅だけだから、相続税もかからないし、揉めようがないよ・・・」という声をよく聞きします。しかし、これは、本当に正しいのでしょうか?

 
「財産は自宅だけ」と言っていますが、おそらく正確ではないでしょう。自宅の他にも若干の預貯金などがあるのではないでしょうか。

 そこで、前提として、 自宅の土地・建物と数百万円の預貯金が相続財産であるとします。では、このような財産に対して相続税がかかるのでしょうか。

 答えは、都心部でない限り、相続税はかからないと思われます

  相続税を算出する場合には、課税価格の総額から基礎控除額(5000万円+(1000万円×法定相続人の数))を差し引くことができます。※平成27年1月から、5000万円→3000万円、1000万円→600万円となります。

 逆に言えば、 課税価格の総額が基礎控除額より低ければ相続税はかからないのです。つまり、このケースでは、自宅(土地・建物)の相続税評価額と預貯金の総額が5000 万円以下であれば相続税はかからないのです

  ちなみに、現在の税制において、相続税が発生する相続は4パーセント前後であると言われています。


 財産が少ないから分けられない


 次に、「揉めようがないよ」ということですが、これは、誤った認識であると言わざるを得ません。

 
裁判所が公表している司法統計によりますと、平成22年中に成立した遺産分割調停7987件のうち、相続財産の価額が5000万円以下の比率は74%だったとのことです。

 つまり、裁判所で行われる遺産分割調停の圧倒的多数は相続税のかからないケースであると言うことができます。

   しかも、一旦、相続紛争が発生すると、解決までに長期間を要することになります

 遺産分割調停では、最も多い件数は1年以内に解決していますが、長い場合には3年以上も時間がかかっています。遺産分割調停の申立ては、必ずしも相続発生後直ちに申立てられるわけではありませんから、実際には、紛争解決までにより多くの時間がかかっているわけです。

 
そして、それらの遺産分割調停における相続財産の中身を見てみますと、驚くことに、9割近くのケースで土地や建物等の不動産が遺産に含まれているのです。

 これは、現金や預金のように分けることが容易な財産ばかりであれば調停をするのでもなく、ほとんどの場合、当事者の任意の話し合いによって遺産分割が 行われていることを示しているものと思われます。

 
さらに、成立した調停のうち、3分の2ぐらいの割合で代償分割が行われています(代償分割とは、Aは不動産を取得する代わりにBに1000万円支払う、 という具合に、他の相続人に債務を負担する方法による分割です)。

 
以上の統計から、遺産分割調停の多くは、相続財産が5000万円以下という相続税がかからない程度の相続であり、相続財産の主なものは不動産(しかも、 自宅と思われる)が中心であること、したがって売却をしてお金で分け合うこともできないため紛争になり、1年前後の話し合いの結果、自宅を引き継ぐ者が他の相続人に代償金を支払って紛争を解決させているという実態が浮かび上がってくるのです

 
相続が発生してからこうした紛争にならないように、財産が少ない人こそ遺言を作って遺された人たちにメッセージを贈っておく必要があるのです。

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