遺言と相続税対策は別次元の話。それぞれの意味を理解しよう

gf1420043172_R遺言は税金対策ではない


 「相続税対策」「節税対策」という耳障りのいい言葉に惹かれて遺言を作る方もいらっしゃるようですが、遺言を作ることによっ て相続税の節税対策になることはありません。

  世上、相続税の節税対策として様々な方法が提案されており、それはそれとして意味のあることです。そして、節税対策の一連の流れとして遺言作成の提案がなされることもあるようです。

  この場合、そこにおける遺言を作成する意味は、節税対策というよりも、相続を巡る相続人間の紛争を防ぐための、言い換えれば、争族対策として遺言を作るということが目的であることを、提案する側も、利用する側も十分に認識しておく必要があります。

  つまり、税金対策としての相続対策と、遺言による争族対策とは全く別次元の話であり、せっかく有効な節税対策をしたとしても、遺言者の想いが相続人に伝わらず、争族となってしまっては何の意味もないのです。

  ここでも、やはり、「なんのために遺言を作るのか」という目的を明確に認識しておく必要があるのです。

 節税対策の原理は、相続財産を減らすこと、控除額を増やすこと


 遺言と相続税対策は別次元の話であることを理解するために、相続税の計算方法の概要と相続税を節税する原理について若干説明をしておきましょう。

  相続税を計算する過程は、大きく分けると
 ①課税遺産額の計算
 ②相続税額の計算
 ③納付税額の計算
 の3段階となります。

  第1段階の「課税遺産額」の計算は、次の計算式によります。
 「課税遺産額」=「課税価格」―「基礎控除額」(5000万円+(1000万円×法定相続人の数)) 
 ※「課税価格」は「本来の相続財産」+「みなし相続財産」 +「相続開始前3年以内の贈与財産」+「相続時精算課税による贈与財産」-「非課税財産」-「債務」により求める。
 ※ 基礎控除額は、平成27年1月1日から(3000万円+(600万円×法定相続人の数)に変更
される。

  第2段階の「相続税額」の計算は、次の計算式によります。
 「相続税の総額」=「各相続人ごとの仮定の相続税額」の合計
 ※「各相続人ごとの仮定の相続税額」は、「課税遺産額」(第1段階による計算結果)に法定相続 分を乗じた金額に対して相続税の速算表により算出した税額をいう。

 第3段階の「納付税額」の計算は、第2段階で算出した「相続税の総額」を、実際に財産を取得した人の実課税価格に応じて割り振って、人ごとに計算した税 額です。

  相続税の計算は以上の手順を追って行うことから、節税対策の原理は、相続財産を減らすことと、控除額を増やすことということになります

 どうですか。遺言を作ることは相続税の節税対策とは別次元の話であることがご理解戴けたでしょうか。

相続税対策の前に争族対策を!


  さて、それでは、もしあなたが相続税対策と争族対策を順番に行っていくとしたら、どちらを先に行いますか?

 私にアドバイスを求められたら、迷わず「争族対策を先に行って下さい」とお答えします。

 たとえ相続税対策が功を奏して相続税が多少軽減されたとしも、争族対策がなされていなかったために家族がバラバラになってしまったら、この先、ずっと家族がいがみ合って生きていかなければなりません。

  逆に、争族対策がしっかりなされていれば、相続税対策がなされていなかったとしても、税金は所詮お金の話、家族で協力していけば乗り越えていける問題だと思います。

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